一緒に『薬機法』について理解していこう!
薬機法とは?どんな法律?
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(いやくひん いりょうききとうのひんしつ ゆうこうせいおよびあんぜんせいのかくほとうにかんするほうりつ、昭和35年法律第145号、英語: Pharmaceutical Affairs Law)は、日本における医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品に関する運用などを定めた法律である。法令番号は昭和35年法律第145号、1960年(昭和35年)8月10日に公布された。医薬品医療機器等法、薬機法と略される。
制定当初の題名は「薬事法」(やくじほう)であったが、平成26年11月25日の薬事法等の一部を改正する法律(平成25年法律第84号)の施行により現在の題名に改められた。
目的は、「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医療品及び医療機器の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ること」にある(1条)。この趣旨に基づき、行政の承認や確認、許可、監督等のもとでなければ、医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器の製造や輸入、調剤で営業してはならないよう定めている。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ポイント
薬機法は
- 医薬品
- 医薬部外品
- 化粧品
- 医療機器
- 再生医療等製品
上記に該当する商品に関する法律になります。薬機法に関しては、普段から法律に関わる人や仕事で薬機法を使っている人以外にはハードル高く感じるとおもいます。私は薬剤師免許を取得していて少なからず薬機法に関わる人ですが、それでもやはり判断に迷うことも多いです。
ただこの法律大切です!何がどの商品に該当する?商品の品質は?危険な医薬品の流通ルートは?などなど・・・・ルールを作って正しく、安全に運用する必要があります。“知らなかった”では、済まされません。
メモ
では、化粧品の定義とは?
化粧品:人体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、または皮膚や毛髪等を健やかに保つために、皮膚または毛髪に塗擦、散布などされる物で、人体に対する作用の緩和なもの(医薬品、医薬部外品の効能効果を持つものを除く)
言い方を変えると、『化粧品に分類される商品の作用に 効果の強い医薬品や医薬部外品の効能効果を持つものは無いよ!』 って事なんです。ここまで書くと勘の良い方なら言葉の意味が分かると思います。
※余談になりますがサプリメンの分類は健康食品になります。つまり普段あなたが口に入れている食品と同じ分類です。食品は『食品衛生法』という法律で定められています。
どこまでが表記OKなのか?
第六十六条(誇大広告等)
1 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。
2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。
3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。
化粧品に関しては 『化粧品等の適正広告ガイドライン』(日本化粧品工業連合会) が定めてくれています。過度な広告にならないように決められた表記方法が存在しています。ガイドラインに沿って表現していきましょう。
注意
【56項目】化粧品の効能効果の範囲
(1) 頭皮、毛髪を清浄にする。
(2) 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3) 頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4) 毛髪にはり、こしを与える。
(5) 頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6) 頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7) 毛髪をしなやかにする。
(8) クシどおりをよくする。
(9) 毛髪のつやを保つ。
(10)毛髪につやを与える。
(11)フケ、カユミがとれる。
(12)フケ、カユミを抑える。
(13)毛髪の水分、油分を補い保つ。
(14)裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
(15)髪型を整え、保持する。
(16)毛髪の帯電を防止する。
(17)(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18)(洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
(19)肌を整える。
(20)肌のキメを整える。
(21)皮膚をすこやかに保つ。
(22)肌荒れを防ぐ。
(23)肌をひきしめる。
(24)皮膚にうるおいを与える。
(25)皮膚の水分、油分を補い保つ。
(26)皮膚の柔軟性を保つ。
(27)皮膚を保護する。
(28)皮膚の乾燥を防ぐ。
(29)肌を柔らげる。
(30)肌にはりを与える。
(31)肌にツヤを与える。
(32)肌を滑らかにする。
(33)ひげを剃りやすくする。
(34)ひげそり後の肌を整える。
(35)あせもを防ぐ(打粉)。
(36)日やけを防ぐ。
(37)日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
(38)芳香を与える。
(39)爪を保護する。
(40)爪をすこやかに保つ。
(41)爪にうるおいを与える。
(42)口唇の荒れを防ぐ。
(43)口唇のキメを整える。
(44)口唇にうるおいを与える。
(45)口唇をすこやかにする。
(46)口唇を保護する。 口唇の乾燥を防ぐ。
(47)口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(48)口唇を滑らかにする。
(49)ムシ歯を防ぐ(※)。
(50)歯を白くする(※)。
(51)歯垢を除去する(※)。
(52)口中を浄化する(歯みがき類)。
(53)口臭を防ぐ(歯みがき類)。
(54)歯のやにを取る(※)。
(55)歯石の沈着を防ぐ(※)。
(56)乾燥による小ジワを目立たなくする。
(※使用時にブラッシングを行う歯みがき類)
では、少し医薬品について掘り下げて考えてみましょう。
あなたが病気になった時、病院にいくと思います。そこで薬を使われたり、処方されたりすると思います。これらは医療用医薬品に分類されます。病院にかかったのに、症状が治まらないと困りますよね?そのため医療用医薬品は世の中の流通に乗るまでに厳しいの審査があります。これは当たり前なのですが、当たり前過ぎて誰もが意識を向けない部分でもあります。審査申請のため医薬品の効果データを出す必要があります。様々な研究に大量のデータを取るために、莫大な時間とお金がかかっています。お金も労力使っても、良いデータが取れなくて世の中に流通することなく終わる薬もあります。医薬品は厳密に設計され、理論と裏付けがあります。莫大なデータと莫大なお金をかけて、有効性を示すことが出来て審査が通ったのもだけ医薬品をして世の中に流通していきます。
つまり 医薬品と化粧品を同等レベルの効果があると誤解させるような広告を書いてはいけないのは当たり前の事なんです。医薬品は医薬品としてのカテゴリー、化粧品は化粧品としてのカテゴリーで販売されていますので、混同させていけないのは自然の事ですよね。
罰則は?
第七十二条の五(違反広告に係る措置命令等)
厚生労働大臣又は都道府県知事は、第六十六条第一項又は第六十八条の規定に違反した者に対して、その行為の中止、その行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる措置をとるべきことを命ずることができる。
一 当該違反行為をした者
二 当該違反行為をした者が法人である場合において、当該法人が合併により消滅したときにおける合併後存続し、又は合併により設立された法人
三 当該違反行為をした者が法人である場合において、当該法人から分割により当該違反行為に係る事業の全部又は一部を承継した法人
四 当該違反行為をした者から当該違反行為に係る事業の全部又は一部を譲り受けた者
2 厚生労働大臣又は都道府県知事は、第六十六条第一項又は第六十八条の規定に違反する広告(次条において「特定違法広告」という。)である特定電気通信(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成十三年法律第百三十七号)第二条第一号に規定する特定電気通信をいう。以下同じ。)による情報の送信があるときは、特定電気通信役務提供者(同法第二条第三号に規定する特定電気通信役務提供者をいう。以下同じ。)に対して、当該送信を防止する措置を講ずることを要請することができる。
第七十五条の五の二(課徴金納付命令)
第六十六条第一項の規定に違反する行為(以下「課徴金対象行為」という。)をした者(以下「課徴金対象行為者」という。)があるときは、厚生労働大臣は、当該課徴金対象行為者に対し、課徴金対象期間に取引をした課徴金対象行為に係る医薬品等の対価の額の合計額(次条及び第七十五条の五の五第八項において「対価合計額」という。)に百分の四・五を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない。
2 前項に規定する「課徴金対象期間」とは、課徴金対象行為をした期間(課徴金対象行為をやめた後そのやめた日から六月を経過する日 (同日前に、課徴金対象行為者が、当該課徴金対象行為により当該医薬品等の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して誤解を生ずるおそれを解消するための措置として厚生労働省令で定める措置をとつたときは、その日)までの間に課徴金対象行為者が当該課徴金対象行為に係る医薬品等の取引をしたときは、当該課徴金対象行為をやめてから最後に当該取引をした日までの期間を加えた期間とし、当該期間が三年を超えるときは、当該期間の末日から遡つて三年間とする。)をいう。
3 第一項の規定にかかわらず、厚生労働大臣は、次に掲げる場合には、課徴金対象行為者に対して同項の課徴金を納付することを命じないことができる。
一 第七十二条の四第一項又は第七十二条の五第一項の命令をする場合(保健衛生上の危害の発生又は拡大に与える影響が軽微であると認められる場合に限る。)
二 第七十五条第一項又は第七十五条の二第一項の処分をする場合
4 第一項の規定により計算した課徴金の額が二百二十五万円未満であるときは、課徴金の納付を命ずることができない。
第72条の5
- 命ずる権利があるのは? ⇒ 厚生労働大臣 と 都道府県知事
- 誰に対して? ⇒ 違反した個人、法人。事業を譲り受けた人、継承した人。
- どんな事が出来る? ⇒ 厚生労働大臣や都道府県知事は、広告を止める命令が出来る。
第72条の5の2
- 課徴金の計算は? ⇒ 医薬品等の広告で、虚偽広告や誇大広告を行った場合に、売上の4.5%の課徴金が課されることとなっています。
- 課徴金の売り上げ合計はどこから? ⇒ 直近3年が対象。
- 課徴金が命じられないケースとは?① ⇒ 72条4第1項(業務改善命令)、72条の5第1項(中止命令)の時。
- 課徴金が命じられないケースとは?② ⇒ 75条1項(許可の取消し等)や、75条の2第1項(登録の取消し等)の処分の時
- 課徴金が命じられないケースとは?③ ⇒ 課徴金の額が225万円未満であるとき。(3年間の売り上げが5000万以下)
実際は法律なので、もっとたくさんの細かい項目があります。実際に罰則を受けるとこになったら、情報は必要かと思いますが・・・その前段階で防ぎましょう!を推奨していますので、課徴金の項目などは『ふぅ~ん』程度にとどめて頂ければ良いと思います。
まとめ
薬機法は2021年8月に広告による課徴金罰則が追加されました。
この薬機法は、化粧品も含む法律になっています。これは法人だけではなく、個人にも該当するルールになります。ルールを守って記事を書く分には大丈夫ですが、無視して記事を書けば罰則が待っています。。『優れた商品をたくさん売りたい!』という気持ちはあっても、ルールを無視したらペナルティーが待っています。世の中には、良い化粧品はたくさんあります。私が知らないものもたくさん存在します。「薬機法の罰則が怖いから紹介出来ない・・」ではなく「薬機法のルールを守るから、紹介したい」と意識が変わることを願って書いています。
今後、私はこのBlogの中で化粧品などの紹介を書いていきたいと思っています。薬機法の表現に迷っている方、どんな法律なのかよくわからない方へ 少しでもお手伝いが出来たいいなーと思って書いています。なお、薬機法に関しては、今回『化粧品』に焦点を絞っているので、実際はもっと範囲が広くここに記載しているよりずっと複雑で項目も多いです。今回は抜粋しているため、かなり情報をそぎ落としています。ご了承ください。(あまり沢山の事を書きすぎると、ポイントがずれてしまうため基本理解をメインとして書いています。)
ただ注意が必要なのは 「薬用化粧品」 です。こちらは 医薬部外品 に該当します。紹介するものが「化粧品」なのか「薬用化粧品」なのか、どれに分類されるのかしっかり把握してくださいね!医薬部外品に該当すると、中身に「有効成分」が含まれ、化粧品と医薬品の間 という位置づけになってきます!紹介するときには、注意してくださいね。
2023年8月 雨粒